恩田陸「光の帝国 常野物語」読了。


例えばの話である。
桃太郎のお話は、鬼ヶ島に行く直前で話が終わったとしても面白いだろうか?
さるかに合戦では、猿が家に戻る直前で終わっても面白いだろうか?


私は、それでも話はちゃんと成立すると思う。
何故なら、そこまで来たのなら終着点は見えているから。
グッドエンドかバッドエンドかの違いであって、
どちらが選ばれるかは大した問題ではない。
ていうか、高確率でグッドエンドだ。
めくるめくバッドエンドを展開できる方は、
それはもの書きの資質があるので、
桃太郎だとバレないように設定をちょっぴり変えて書くべきだ。
夢の印税生活が待っているかもしれない。


そういう、肝心な部分を不透明にしたまま、ちゃんと面白い本でした。
膨大な設定を考えていると思うのですが、
わざと隠しながら書いているのがニクイ。
短編同士のリンクもあり、行間から沢山のことを想像できます。
過去を感じ、未来を思う世界が構築されている。
恩田は短編が上手いなあ〜。