恩田陸ネクロポリス」読了。


"お客さん"として死者が実体を伴って戻ってくる街。
今年は巷を騒がすの連続猟奇殺人事件の被害者も戻ってくる。
そして新たに起こる殺人事件。
果たして犯人はつかまるのか。
この聖地の謎は。


・・・・というような前フリで始まるのですが、
ここが流石の恩田です。
終着点が後方伸身宙返り2回半ひねり(床)位の場所に来ます。
まあオチはどうでもいいのです。オチは。


大学で民俗学文化人類学の授業を受けた身には
東西の文化が入り混じった設定が壺をついて良い。
また男性のキャラクターが上手いんですよね〜。
主人公のジュンイチロウを始め、
不思議な雰囲気を身にまとうラインマンの存在がいい。
忠犬+高い身体能力を持った人という組み合わせに何故か弱い私は、
さらにオリエンタルな美形+思慮深さ+オッドアイと畳み掛けられ、
話そっちのけで、ラインマンの活躍に目を奪われました。
くー!そこまで狙われると、逆に引いてしまいそうなのに、
恩田の筆力のせいでハマってしまう・・・!!!


その場に流れる空気感が良い。臨場感がある。
登場人物の思考を追いかけて世界を見る私には、
キャラクターをきちんと書いてくれる恩田が非常に読みやすい。
良き箱庭話でした・・・・。次も恩田だ〜!