伊坂幸太郎「魔王」読了。


おっと伊坂にしては珍しいテンポの文章です。
いつもよりゆっくり。
でも相変わらず透明感のある文と世界観。
本編に挟まる小さな日常も
効果的に繰り返されるセンテンスも、伊坂らしくて良い。


重力ピエロに続く、兄弟主人公。
伊坂の書く兄弟って好きなんだよな〜。
この兄弟共に、特殊な能力を持っています。
が、作中ではちっさい使われ方しかされてない。
兄貴があそこで力を発揮できたとしても、本流を変えることは出来なかっただろうし。
俗物的な視線からなら、弟の力は欲しいけれども(笑)、
どちらの力を持ってしても、本当に欲しい物はきっと手に入らない。
そう思うと、伊坂って超クールよねェ・・・。
だから、この本に登場するセンテンス「考えろ考えろ」なんでしょう。


伊坂の作品は、登場人物たちの『意思』に溢れていて
それがとても心地よい。
「魔王」というタイトルの割には、
表紙が爽やかでシンプルすぎるな〜という印象でしたが、
全部読んで見返すと、ああなるほどと思います。
読後感とはマッチしている。・・・でもシンプルすぎやしないか(笑)。