恩田陸「蒲公英草紙 常野物語」読了。


泣いてしまった。恩田で泣いたのは始めてですかね。
この本は、常野シリーズの第二弾にあたり、
第一弾が短編集だったことを思えば、常野シリーズ初長編。
「光の帝国」も第三弾の「エンド・ゲーム」も
常野の人たち(=不思議な力を持つ一族。)が主人公だったのですが、
このお話では脇に来ています。
そのせいか、今まで読んだ中では一番『物語』だったな、という印象でした。
面白かったです。


だが、こうしてお話としてまとまっていても、
読み終わった後に、『なんかどっかの伏線が消化されていない気分』がある。
これは「六番目の小夜子」から続く恩田の特徴。
割と、主人公格の性格をしているキャラが何人もいるので、
「むやみに舞台奥で存在感を出さないの!
 出すならもっとツラ(舞台前)でやりなさい!!」と言いたくなる。(笑)
若い仏師の永慶さま(♂)とか、西洋画家志望の椎名さま(♂)とか
少年から大人へと変貌を遂げた廣隆さま(♂)とか!!
ちなみに様づけなのは、作中そう呼ばれるからなのですが、
これで主人公は学生の女の子なのですよ!
でもメインは聡子お嬢様とのお話なんですよ!
めくるめかないのカヨ!
これで、なんとなくの気持ちの一部はお分かりいただけるでしょうか。


読んでいる最中は気になりません。
大変面白く読めます。そこが恩田の凄いところ〜。